リハビリは、その場で終わらない。
生活へつながる支援を届けたい。

身近な家族の入院経験が、作業療法士を目指すきっかけに

Q
作業療法士を志した経緯は?
A

野球をしていて怪我をし、整形のクリニックを受診しました。理学療法士、スポーツトレーナーというリハビリの世界があると知ったことからスタートしました。

大学受験にあたり、作業療法士もあるんだなという直感で、理学療法士ではなく作業療法士の道へ進みました。

日常生活に寄り添える感覚が楽しそうだな。という軽い気持ちもありつつ、医療を経験してみたい。その人を治療して生活が豊かになればな。という想いでした。

Q
あえて日常生活に興味をもったのは?
A

祖父母との生活をしていたことも影響があったのかもしれません。叔母も膝の手術などをしていて。家で過ごしていました。母の子宮筋腫など。入院する経験が、親、家族にあったからです。

医療系に進もうかな。自分なりに引っかかっていたからこその作業療法士かもしれません。

Q
訪問リハビリの世界に来た理由は?
A

大学の時、教授から、病院で勉強してから在宅で勉強するという流れも聞いていました。病院で勤めている時も、次のステップとして在宅と聞いていました。

家に帰るということは生活に戻っていくということ。勉強、経験しておかないといけないな。せっかくの資格ですし。いろんなことを経験したい。自分の中のステップアップが必要だと思って在宅へ進みました。

ただの延長線上かなと思っていましたが、違いました。在宅のあり方、病院のあり方があります。

家に帰るためのリハビリは、病院でもやっていましたが、それがうまくつながっていなかったと気づきました。在宅でのリハビリは、無理やり繋げていくでもなく、ぐっと繋げて、近づけていくのが、この仕事だと思えました。

今までなら他職種の人たちの背景を知らずに戦っていましたが、今は、こういう意図でやっていたから、こう繋げようと、繋がりで考えられるようになっています。その人の一連をみるとか。

だから療法士も、訪問看護を一度は経験するべきだと思います。病院に戻ったら、もっとできることもあると思えますし。一回経験した方がいいです。いろんな世界が見えると思います。

先輩 作業療法士

その人の苦しみに、少しでも寄り添いたい

Q
実際に訪問リハビリを行ってギャップはありましたか?
A

病院では、整形の治療などに専念していて、気づかなかったのですが、精神面の配慮というのは誰にとっても必要なところです。治療していればよかったのですが、それだけではないことを気付かされました。

個性あふれるモノが多い賑やかな空間、お家にも伺います。確かに、衝撃はありましたが、先輩スタッフから部屋の中は頭の中だからねと聞いて、頭の中なんだ。。。と見え方が切り替わりました。

ものがなくなるとか、わかって探せる人もいる中で、もっと すごい頭の中なんだろうな。。。冷静に分析できるようになっています。

家族が管理してくれていたとしてもモノが溢れる空間になることもあり、そこには家族と生活があります。その人のなかの普通がそこにあるんだろうなと捉えることで、冷静に対処できるようになりました。

綺麗な言葉でいうてしまえば、その人が苦しんでいるところに寄り添えたら。改善できているのか?まだ苦しませているのか?まだ、自分としたら、どうもしてられないのかもしれませんが。

近くに誰かいてくれて安心と思ってくれるなら、苦しみをちょっとでも和らげてあげられたらという気持ちで訪問しています。

精神疾患の方だけでなく、介護保険対象の高齢者の方、家族も悩んでいたりします。それに寄り添ってリハビリとしてなにか提案して、訪問看護としてなにか提案できたらいいなと思います。

非効率かもしれませんが、知識とか経験がたくさんあるわけではありませんが、してあげたい。的外れでも提案したい気持ち。強く出過ぎる時もありますけど(笑)

本音もいってしまえば、家族のために仕事としてやるという腹を括っているところも正直あると思いますけどね(笑)

先輩 作業療法士

「そんなに焦らなくていいよ」利用者さんの一言が教えてくれたこと

Q
それは、こちらも焦りが出てしまって、リハビリ側のやり方を押し付けてしまったり、逆にアンパイの引き気味のリハビリになってしまったりと、本人の変化を待てないこともあると思うんだけど、待つことに対して、シフトチェンジできたのはどんなふうなきっかけがあったのですか?
A

利用者さん本人からそんなに焦らなくていいよの声かけをもらいました。早く良くして欲しいのを感じていたのに、そういう一言をくれるんだ。

3ヶ月限定でといわれてリハビリが始まって、早く成果を出さないとと、かなり気持ちが焦っていました。でもその声かけを聞いて、待てる感じになっていったと思います。

リハビリというリハビリをしているのか?という感じのケースもあります。話を聞いて欲しいが9割。

トレーニングに関してはデイサービスでやっているので、バランス訓練だけやってくれたらいいと言われたりすると、僕の中ではもっとアレをしたいコレをしたいと、モヤモヤしていますが。それがいいとおっしゃってくださる。そういう会話の中で、本人の大事な想いを聞けたりすると、待てるようになりました。

リハビリしなければいけないという焦り。身体的によくしなければいけないという焦りもありますが。提案はし続けつつ。

待つ。本人が必要とするまで待つ。

表情を見てしまうと待たざるを得ません。そんな中で、待てるようになっています。

先輩 作業療法士

対照的な2人の利用者さんから学んだ「待つ」ということ

Q
印象的な利用者さんのエピソードは?
A

待てるかどうかを教えてくださった2人。理由が正反対です。

ある方は、リハビリして欲しいけど、焦らなくていいよ。ゆっくりでいいよ。寡黙。
ある方は、リハビリしたくない。どこかでタイミングがあると思ってこちらが待つタイプの方。よく喋ってくださる。真逆。

真逆の2人から、待つことを教わっています。

Q
在宅の難しさってありますか?
A

在宅の難しさは、ひとりで訪問するから、その場の判断は自分というところです。どんなに相談できても、現場は1人です。確実に行けるようになるという評価が難しさかもしれません。

本人のできるという言葉にながされるか、ながされないかも必要です。相手も自分も守れるように考えるところが、難しいと思います。

ずっと難しいとは思っています。これであっているのかな?は、今でもあります。理解のある方には話をしながら、経験を通して得たものから判断して伝えます。理解の難しい人の場合は、やってみましょうか。と声をかけてまずはやってみます。

経験。今までこうやったら成功したから、今回もやってみようか。まず 評価はします。それは病院経験を含めて、実践で培ったものかもしれません。

この人どうやったらよくなる?その人のためにどうしたら?という自分の中の疑問に関しては、知識のある人に聞くようにしています。

いろんな人との出会いで、いい先輩、反面教師的な先輩。色んな出会いや経験をしたからこそ見えることもあります。一つの所でいたら、見えなかったことかもしれません。

バトンをつなぎながら、成果を出していく面白さ

Q
訪問リハビリのどのような点がおもしろいですか?
A

病院としか比較できませんが、週一、動作でも気持ちでもその人にとって良くなる方向になにか置いていく。翌週行ったら、かわっているとか、気持ちスッキリしたと言ってくださるのを聞くと。やってよかったなと感じます。

病院はその場で治療結果を出す、になります。在宅は、長くおつきあいしていくなかで、次の訪問までに何か残しておいて、その間に自分でやってもらっておいて成果を出していく。そこが醍醐味です。

次の訪問までにバトンパスしながら、バトンをつなぎながらやっていけるのは、成果がでて楽しいなと思います。

ちょっとの変化は専門職として気づきやすいところがあるので、そこをお伝えしながら、やる気になってもらえたらいいなと思います。前向きになってもらえたら嬉しいです。

例えば、もともと鬱気味で、落ち込む方。沈んでいる時に、前の担当者から担当を引き継ぎました。

痛いからあかんわ。という発言が、調子悪いけど、出てるのは出てるしな。

言動も行動も、ちょっとポジティブになりました。痛いけど歩いたらよくなるという実感とともに、痛さや症状にこだわらず生活に向いている気がします。痛みはとらわれやすいからです。

Q
関わりの中で、工夫したことは?
A

鬱の人なので頑張りすぎたりもするから、ぼちぼちやりましょう。ちょっとずつ良くなっていますよの声かけ。よくなっていることのフィードバックをし続けてきました。

さらに、生活の中でのトレーニングの提案。それを続けてやってくださっています。

やってみたらどうですか?の後押し。危ないからと禁止するのではなく、やれるギリギリを攻めるかんじ。一度怪我や転倒をしてしまうと、怖がってしまいます。一度の怪我とかそういう経験で伸びなくなってしまいます。

専門職として、慎重に評価した上で、できる!というタイミングで伝えて、後押しをしています。

外にでていいんだ!1人で出かけられる!怪我したから病気したから1人で行動したらあかんのか?

そこは家族を巻き込んで、家族にも良くなっていることをフィードバックすることで、1人外出を許可してもらえました。

先輩 作業療法士

訪問看護の経験は、キャリアとして必ずプラスになる

Q
訪問リハビリは、作業療法士のキャリアとしてはどう思いますか?
A

なんでも繋がりだと思うようになってきました。

キャリアの中で、病院はリハビリだけ考えておけばよかったですが、在宅では、いろんな方面につながりがあります。

本人、家族、ケアマネ、ドクター、地域の人とつながりがあるから円滑に進んでいくと思うからです。

自分の場合は、当時の考えのまま来ていたら、しんどくなって神経をすり減らして、どうしようもなくなっていたかもしれません。

訪問看護でのリハビリは、キャリアとしてはプラスです。他の場所にもっていったとしても、活かせる経験や技術があります。

訪問に興味がなかったとしても、一回は、突っ込んでおいたらいい領域だと思います。後戻りもできます。今ならそう思えます。

病院のとき、そこの世界しか知りませんでした。

訪問看護だけでなく、健康体操など、病院だけならできなかった経験を今、スタイルにきてできています。

健康体操をやらせてもらっているのも、1年間訪問看護を経験したから、あの場でできています。もともと、緊張しいなのですが、だいぶ落ち着いてできています。経験してきたからこそ、不安がなくなってきていると思います。

他にもコミュニケーションをどうとるかなど。俳優になれ‼︎は技術として身についてきた気がします。

Q
俳優になれとは?
A

管理者の「看護師は女優よ。療法士は俳優よ。」利用者さんを主人公にして、支援者は名脇役になることが大事という言葉からです。

自分の捉え方としては、自分が楽だったら相手も楽になる。そういう使い方をしたいと思っています。

相手に合わせすぎるのではなく、みんながこの場を楽しく楽に過ごせるように。その人の求める人を演じることで、相手の立場に立った提案と対応につながります。

いやいや演じたり振る舞うのではなく、自分も相手も楽になり、いい時間にするために、俳優になる、役割を演じる。そういう使い方をしたいです。

個別で考えている男性脳が、今は、繋がりをかんじられるようになってきています。

療法士10年。訪問看護2年。

いい意味で新しい世界をみれていると思います。